「7歳までは神のうち」

 

「LIFE SHIFT」によれば、1968年生まれである私も、なんとか頑張れば100歳まで生きられそうです(笑)

つまり私の人生はようやく折り返し地点に差し掛かったわけで、まだ半分も残っているということ。

 

これは喜ぶべきでしょうか?

それとも悲しむべきでしょうか?

 

決して他人事では済まされないみなさんならどう思われます?

では平均寿命上昇の理由を解き明かしていきましょう。

 

これまでの平均寿命の上昇は、人生のいくつかの段階でそれぞれ死亡率が改善した結果として実現してきました。

最初は乳幼児の死亡率改善が平均寿命を大幅に押し上げました。

 

現在、先進国で生きている人は子どもの死亡率が高かった時代をほとんど想像できないでしょう。

 

特に日本は長寿というイメージがあるかと思いますが、実のところ長寿国になったのは最近のこと。

日本人の平均寿命が50歳を超えたのは、戦後の1947年になってからなのです。

 

時をさかのぼること、江戸時代。

当時の子どもが7歳まで生きられた確率をご存知ですか?

 

正解は、約50%です。

つまり半分は生き残って、半分は亡くなったということ。

 

戸籍制度が整備されておらず、正確な数値は把握できませんが、江戸時代全般を通してその程度だったようです。

現代のように発達した医療や予防接種があるわけでもなく、ちょっとした風邪でも命取りでした。

 

余談ですが、当時の感覚を如実に物語る言葉があります。

「7歳までは神のうち」

 

乳幼児はあまりにもあっけなく亡くなってしまうため、数え年で7歳になって、ようやく人間社会の存在として数えましょうという意味です。

 

ちなみに子どもの健やかな成長を祝うある行事が江戸時代に始まりました。

「七五三」です。

 

 

当時の七五三は現在の形式的なお宮参りではなく、ずっと重い意味があったわけです。

 

さて、話を戻しましょう。

 

1920年代以降の平均寿命の改善は、子どもの死亡率低下が大きく寄与しました。

結核、天然痘、ジフテリア、チフスなど、子どもたちの命を奪った感染症の多くが抑え込まれたのです。

 

さらには政府が保健分野のイノベーションを後押ししたこと、栄養水準が改善したこと、そして人々の意識が向上して健康的な生活を送れるようになったことが好結果につながりました。

明治32年(1899年)には153.8/1,000人だった日本の乳児死亡率(生後1年未満)が、ついに現在では2/1,000人まで至ったのです。

 

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