「老後2,000万円問題」の引き金となった金融庁の報告書「高齢社会における資産形成・管理」について解説してきました。
「生活できる年金払え!」と怒りの声を上げるのは、少々見当違いだということをご理解いただけたと思います。
でも、いったいどうしてデモまで起きるほど、事が大きくなってしまったのでしょう?
「老後2,000万円問題」には、まだまだ隠されている何かがあるのかもしれません。
引き続き、その真相を解き明かしていきたいと思います。
今回のデモの参加者は、20~30代の若者が多かったようです。
何十年も先の老後なんてそもそも実感がないし、年金のことも詳しくは知らない。
でも、自分たちは割を食っているんじゃないか、という漠然とした不公平感や不信感を持っている。
それが彼らの実情であり、デモへの参加を駆り立てたのでしょう。
まぁ、中には年金問題とは関係のない「打倒!安部政権」と書かれたプラカードを掲げる人もいたようですが…
デモの主催者は「年金保障に特化したデモ」と位置づけ、「年金のテーマ以外、また政党や政治団体名の段幕やのぼり旗等はお控えください」と呼びかけていたのに…
あくまで私見ですが、本当に面倒くさいですね、プロ市民って…
「年金払え」という以前に、すでにこの人はもらってるでしょ、年金…(笑)
これはデモを告知したツイッターです。
「年金返せ」という言葉に違和感を覚えるのは私だけでしょうか?
ここからもデモの主催者や参加者が、年金制度を誤解している様が見てとれます。
前述しましたが、年金制度には積立方式と賦課方式があります。
積立方式とは、現役時代に払い込んだお金を積み立て、老後に受け取る仕組み。
賦課方式とは、現在現役の人が払い込んだお金を現在の高齢者に支給する仕組み。
そして日本は賦課方式を採用し、世代間扶養を実現しています。
ですから積立方式の場合、「年金返せ」という言葉でも頷けます。
自分が払い込んで、将来自分が受け取る年金を返せというわけなので。
賦課方式の場合は「年金返せ」ではなく、正確には払い込んだ「保険料返せ」と言うべきでしょう。
「年金返せ」「年金溶かすな」などというフレーズは、年金制度そのものやその現状を理解していない証です。
「生徒から『年金は大丈夫か』と尋ねられても答えに窮する。政府はごまかさず、議論のきっかけにすべきだ」
以前にご紹介した男性教諭(28)のコメントですが、高校で社会科を教えているというのに残念なかぎりです…
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