国民的な議論を巻き起こした「老後2,000万円問題」ですが、結局うやむやのまま幕引きとなりました。
麻生太郎金融担当大臣が報告書を受け取らないという異例の事態に至ったためです。
まさかここまで大事になるとは想定していなかったのでしょう。
参院選を前に批判を避けたい政府・与党が火消しに躍起となったわけです。
取りまとめた意見が与党の反対などで政策に反映されないことはありますが、担当大臣に門前払いされるのは前代未聞の出来事でした。
でも、これは相当におかしな話です。
そもそも報告書をとりまとめた金融審議会は、麻生大臣の諮問機関。
さらには金融庁も認めています。
金融庁の事務方が報告書になる直前の最終報告書案を麻生大臣にブリーフィング(簡潔な説明)していたことを。
自分で依頼しておきながら、都合が悪くなったらなかったことにする。
しかも学識経験者や金融関係者ら民間委員21人が、2019年9月から計12回も議論を重ねたものを。
「選挙対策を最優先にして、有識者の提言をなかったものにするとは何事か!」
委員がそう憤るのも当然でしょう。
一般的な感覚ではとても理解できませんが、まぁ政治家のやることですから今さら驚きませんが…(笑)
かくして金融審議会で承認するという正式な手続きを経ないことになり、今後も金融庁が報告書を行政運営に活用することはなく、事実上の撤回が決まりました。
なお、報告書は「案」のまま公文書として残され、金融庁のホームページに掲載されています。
では、話を続けます。
報告書で指摘された老後の不足額2,000万円の根拠を今一度確認してみましょう。
「夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職の世帯では毎月の不足額の平均は約5.5万円であり、まだ30年の人生があるとすれば、不足額の総額は単純計算で2,000万円になる」
いかがでしょう?
どこかに違和感を覚えるところはありませんか?
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