値上がりしても、そこそこ対応

 

老後にもらった年金がインフレによってその価値が目減りし、生活に必要なモノさえ買えなくなったら…

ただでさえ「老後2,000万円問題」で不安が募っているのに、とても心配になりますよね…

 

でも、スッキリとまではいきませんが、少しは気分が晴れる話をしましょう。

 

日本の公的年金制度は、インフレリスクにもある程度対応できるよう作られています。

基本的に公的年金の金額は物価の変動に連動する仕組みであり、翌年度の額が改定されることになっています。

 

とはいえ、例外ルールが適用される場合など、年金額の改定についてはとにかく複雑。

ですから、みなさんが混乱するといけないので詳細は省きますが、「物価に連動するんだなぁ」という程度の認識でよろしいかと思います。

 

ちなみに2020年度の年金額は、2019年度比で0.2%の引き上げになりました。

つまり年金をもらい始めた後は物価が上がっても、モノを買う力がそこそこ維持されるようになっているということ。

 

現役世代の減少度合いなどに応じて給付を抑制する「マクロ経済スライド」という仕組み(詳細は後述)が導入されたため、物価上昇率よりも年金増加率が小さくなるようにはなりました。

それでも基本的には、物価が上がれば、相応に年金額も上昇します。

 

このような物価連動の仕組みを取り入れることは、民間の保険では原則的に無理です。

公的年金にそれが可能なのは、前述しました「賦課方式」だから。

 

インフレが起きている状態では、現役世代の賃金も通常は上がっています。

ですから、現役世代からの保険料収入もその分大きくなるため、年金額を増やせるというわけ。

 

実はアメリカ、フランス、ドイツなど諸外国の年金も、最初は積立方式ではじまりました。

ですが、高インフレになかなか対応できなかった経緯などから、賦課方式を基本とする運営に変わった経緯があります。

 

以上、公的年金は「長生き」「障害」「大黒柱の死亡」という人生の3大リスクに備えるだけでなく、「インフレリスク」にもある程度対応する総合的な保険です。

保険であることがもっと理解されれば、「払った分だけもらえないことがある」ことに対して文句を言う人は減るかもしれません。

 

ちなみに、「生活保護より基礎年金が安い」などと、時折問題視されます。

しかし、基礎年金の水準を上げることは大切ですが、一律の比較は適切ではないでしょう。

 

生活保護は保険ではなく、資産のすべてを使っても、なお困窮する人の最低の生活水準を保障する最後の砦として、保険料を支払わずに一方的な給付を受けられます。

でも、その見返りとして、所得だけではなく資産も厳密に調査され、自動車などがあれば原則的に処分することを求められ、貯蓄も数10万円程度を上限に厳しく制限されますから。

 

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