年金とは、長生きリスクに対する保険です。
長生きして想定外に貧しくなってしまうリスクを国民が協力して防ぐ。
それが日本の年金制度の基本的な考え方です。
ところで、前々回の記事でみなさんに質問しました。
積立貯蓄、生活保護、保険、その中で公的年金はどれに近いものなのかと。
これについて少々補足します。
社会保障制度の一つの機能として、生活保障機能があります。
生活保障機能は貧困の救済と予防という観点から、大きく分けて「防貧」と「救貧」の機能を有しています。
「防貧」とは、解説しました公的年金や公的医療保険などにより、高齢に伴う収入減や傷病による支出増などのリスクを社会全体で分散する仕組み。
要は社会保険と呼ばれるものであり、他には介護保険(介護リスク)、雇用保険(失業リスク)、労災保険(労働災害リスク)があります。
「救貧」とは、まさに生活保護であり、「防貧」機能によっても貧困を免れない人たちに生活保障を行っています。
具体的には、生活扶助・住宅扶助などの現金給付や医療扶助などの現物給付になります。
また、生活保障機能を「自助」・「共助」・「公助」の観点で整理すると、自ら働き、自らの生活の安定を図ることが「自助」。
金融庁の報告書で提唱された、老後に備えての資産形成などが該当します。
とはいえ、「老後2,000万円問題」が大きな物議を醸したように、この「自助」だけでは解決できないこともあります。
そのような際、国民が集まってリスクを分散して支え合うことが「共助」。
政府が運営する年金・医療などの社会保険制度がこれに該当します。
「共助」により生活の安定を補強し、それでも安定が図れない場合には、公的に最低限の生活を保障することが「公助」。
政府による生活保護です。
そして民間が運営する生命保険などは、政府が運営する社会保障制度を補完する役割を担っています。
以上、公的年金制度とは「共助」であり、「防貧」機能を担っていることがご理解いただけたと思います。
「老後に貧しくなるのを国民が協力して防ぎましょう!」というわけです。
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