年金とは、積立貯蓄でもなく、生活保護でもなく、保険に近いものです。
では、保険とはどういうものなのか?
先刻ご承知だとは思いますが、自動車保険を例としておさらいしてみましょう。
自動車は人類の偉大な発明の一つであり、地方に住む者にとっては生活するうえで欠かせないものです。
しかしながら、走る凶器と呼ばれているように、時にはいとも容易く人の命を奪ってしまいます。
もしも自分がその当事者となって対人事故を起こしてしまったら、何億円もの賠償責任が発生するかもしれません。
もちろん強制保険である自賠責保険で補償されますが、死亡保険金の限度額は3,000万円であり、それを超える部分はすべて実費負担…
すなわち人生が即詰んでしまうことになります…
そんなリスクに備えるため、ほとんどのドライバーは任意保険に加入し、無制限の対人賠償を付保しています。
任意保険の加入者が保険料というかたちでお金を出し合って、リスクを引き受けた(事故を起こした)人に対してお金を払う。
それが大まかな自動車保険の仕組みです。
要するに多くの人が共同でリスクヘッジをしているということ。
そしてリスクを引き受けなかった(事故を起こさなかった)人には、お金が戻らずに掛け捨てとなります。
そのことに対して文句を言っている人を、私は見たことも聞いたこともありません。
さて、自動車保険の話はこれぐらいにして、年金に戻りましょう。
年金が保険に近いのであれば、何らかのリスクに備えていることになります。
いったいどんなリスクだと思いますか?
答えは、想定していたよりも長生きしてしまうというリスクです。
つまり年金とは長生きリスクに対する保険なのです。
どれだけ長生きしようとも、生きている限りは年金が支給されますから、程度の差こそあれリスクに備えることができます。
以前の記事で言及しましたが、アラフィフ未満の日本人は人生100年時代を過ごすつもりでいたほうがいいので、長生きリスクは決して他人事ではないでしょう。
とはいえ、長生きすることにリスクという言葉を用いるのは、少々違和感を覚えるかもしれません。
なぜなら人間は、「死ぬ=不運」「生きる=幸運」と本能的にイメージしますから(笑)
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