前回解説した通り、ケースⅤではマクロ経済スライドによる調整が終わる2058年度の年金額は20.8万円と微減(2019年度22万円)にとどまっています。
とはいえ、こうは思いませんか?
現役世代の手取りの増加(2019年度35.7万円→2058年度46.7万円)によって年金額との差が開けば、相対的に貧しさを感じるのではないかと。
つまり豊かさは実質的な年金額ではなく、やはり所得代替率の変化で考えるべきだという意見です。
一方、年金で大切なのは購買力の維持なのだから、所得代替率が下がっても実質的な年金額が減らないのならそれでいいという意見もあります。
これは両方とも正しいと考えていいのではないでしょうか。
それでも老後のライフプランを考える前提として、実質的な年金額はむしろ増えるか、もしくはあまり減らないということを正確に知っておく必要があると考えます。
では、最も悲観的なケースも見ておきましょう。
実質経済成長率が▲0.5%のケースⅥです。
このケースでは、2052年度に積立金がなくなり完全賦課方式に移行。
その後、所得代替率は38~36%程度まで低下(※)します。
(※)本来、50%を下回りそうならスライド調整の停止などが検討されますが、機械的に給付水準の調整を進めた場合
所得代替率自体の変化は2019年度の61.7%に対して、41.6~38.4%もの大きな減少です。
完全賦課方式に移行しても、年金は本当に大丈夫なんでしょうか…
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