「もう年金が出なくなるって知ってました?」
前回ご紹介しました出来事ですが、FP(ただしまともな)や社会保険労務士の人たちにこの話をすると、こんな反応が返ってきます。
「年金がダメだというイメージはものすごく広がっていますよ。特に若い人たちに」と。
確かに知り合いの自営業者の中でも、「年金はあてにならないから…」と言って保険料を払っていない人がチラホラと。
日本生命の調査でも、30代の11%が将来の年金額について「もらえない(0円)」と答えているようです。
ここまで年金に対する誤解が広がっている現状を思うと、本当に暗澹とした気持ちになるのは私だけでしょうか?
以降は、現行制度がしっかり運用されているかぎり、年金財政が破たんしない理由を解説していきます。
やや難しい内容も含みますが、お付き合いいただければ幸いです。
冒頭のように「年金は破たんする」と不安を煽り立てて、金融商品を売りつけようとするビジネスが盛んです。
でも、年金は破たんしません。
それには様々な理由があります。
まず国からすれば、年金を破たんさせてもメリットがありません。
年金がなくなって困窮する高齢者をそのままにしておけば政治不安が高まるので、生活保護の受給者を増やさざるを得ません。
生活保護は全額税金です。
それよりは保険料が財源の多くを占める年金制度を残すほうが、財政的には明らかにプラスです。
ここで補足しますが、そもそもそんな議論は政府内でなされていません。
財政が厳しいから年金を破たんさせるという選択があり得ないことを考えていただくためにあえて書きました。
もう少し現実的な話をすると、これまで説明してきた通り、年金は現役世代から受給世代への賦課方式、即ち、社会的な仕送りです。
仮に年金積立金が何らかの理由でなくなっても、現役世代がいるかぎり、金額の多寡は別として仕送りそのものは続けられるでしょう。
とはいえ、金額自体があまりに減っては意味がありません。
ですから仕送りの一部を税金や会社が負担するとともに、積立金を計画的に使って、受給世代が増えて現役世代が減る時期にも安定的な給付を行うわけです。
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