「金融庁のほうが怖いですから…」

 

老後資金が2,000万円不足するという試算は、実に機械的で大雑把であることを説明しました。

 

では、どうしてこのようなデータをあえて公表したのか?

そこに着目すると、金融庁の真意が見えてきます。

 

その前に、そもそも金融庁とはどのような組織なのかを確認しておきましょう。

 

①金融制度に関する法律の企画・立案

②金融機関の検査・監督

③証券市場の監視

 

これらを通じて、金融機能の安定を確保し、預金者、保険契約者、金融商品の投資者等の保護を図るとともに、金融の円滑化を図るという役割を担っている行政機関です。

最近では不適切な保険販売をおこなったかんぽ生命、日本郵便、日本郵政に対して行政処分を行いましたが、まさしく保険契約者の保護を図ったわけです。

 

上記②の検査というと、ドラマ半沢直樹に出演した片岡愛之助を思い浮かべる方もいるでしょう。

 

 

かつて銀行員だった私は「あのドラマは本当なんですか?」とよく聞かれましたが、こう答えていました。

「まぁ近いですよ。そもそも銀行員は顧客よりも金融庁のほうが怖いですから」と。

 

そんな銀行員が震え上がる金融庁(当時は金融監督庁)の検査ですが、実のところ私も経験したことが…

事前通知もなく、ひとつの銀行で1店舗程度の抜き打ち検査なのですが、運悪く私の支店が選ばれてしまったのです。

 

当然ながら国家権力を振りかざしての検査ですから情け容赦なし。

うまく乗り切れば支店長の評価は上がりますが、失敗しようものなら左遷もありえます。

 

支店内にピリピリとした空気が張りつめる中、私は検察官から呼び出されました。

まさかというか、やっぱりというか、少々問題のある書類の説明を求められたのです。

 

もちろん本当のことは口が裂けても言えませんが、少しでも動揺の色を見せれば悟られてしまうでしょう。

ですから堂々と嘘をついて逃げ切りました。

 

実に見事だったと上司にお褒めの言葉をいただいたことは、言うまでもありません(笑)

どうやら話が少々脇にそれたようです…(汗)

 

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