昨年6月3日、金融庁がある報告書を公表。
金融審議会の市場ワーキング・グループによる「高齢社会における資産形成・管理」(以下、報告書)です。
これを受けて日本列島には激震が走り、国民的な議論を巻き起こしました。
いわゆる「老後2,000万円問題」です。
6月16日には、この問題に関する政府の対応に抗議するデモが東京で行われ、約2,000人が参加。
「生活できる年金払え!」などと、怒りの声を上げました。
彼らは何に憤りを感じていたのでしょう?
「老後に月5万円足りないとなった時に、やっていける人とやっていけない人が出てくる。それをどうにかするのが政府の責任なのに、『2000万円貯めてね、ヨロシク』って丸投げするのは問題に向かう姿勢として、ないと思う」 男性(29歳)・会社員
「社会人になり、問題意識を持った。不安なまま(年金保険料が)天引きされており、きちんと説明が欲しい」 女性(23歳)・会社員
「生徒から『年金は大丈夫か』と尋ねられても答えに窮する。政府はごまかさず、議論のきっかけにすべきだ」 男性(28歳)・高校教諭
「年金制度はヤバイ、ヤバイとはずっと言われてきたけれど、上から『お前らちゃんと考えてないだろ』みたいに言われるのは…言っている本人は年金をもらわなくても生活に困らないほどお金があって、ふざけるなって話です」 男性(37歳)・アパレル関連勤務
「収入面でそこまで不安はないけど、(年金が)返ってこないというのは話が違う」 男性(25歳)・IT関連勤務
「僕に死ねと言っているようなもの」 男性(30歳)・フリーター
いかかでしょう、彼らの意見に共感できますか?
それとも何だかズレているように感じますか?
いずれにしても参加者のみなさんが報告書の全文に目を通しているとは、とても思えません。
とはいえ、ただでさえ大半の人が金銭教育を受けていないという現状では、無理からぬこと。
輪をかけるように「金融庁 老後資金は2,000万円不足」などといった誤解を招くような表現を用いた記事も散見されましたので、なお更でしょう。
では「老後2,000万円問題」とは、いったい何だったのか?
報告書が本当に意味する「高齢社会における資産形成・管理」について、できるだけわかりやすく読み解き、その真相に迫っていきたいと考えています。
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