「金融処分庁」から「金融育成庁」への転換を進めている金融庁。
そして日本銀行の極端な金融緩和によって疲弊している金融機関。
以上を踏まえ、老後資金が2,000万円不足するという雑なデータをなぜ金融庁は公表したのか?
いかがでしょう?
どうやら金融庁の真意が見えてきたようです。
つまりある目的を持って、金融庁は報告書を公表したわけです。
その目的とは、投資をしないと老後は大変ですよという国民への警鐘ではありません。
金融庁の真意、それは監督している銀行や証券会社などの金融機関の活性化。
そのためには国民に投資の必要性を訴える必要があったのです。
では、日本の家計資産における株式や投資信託の比率が高まると、どうして金融機関が活性化するのか?
地方銀行を例にとって話を進めましょう。
2019年3月期決算では上場地方銀行78行の約7割が最終減益となったことは説明しました。
貸し出しなどの本業の赤字を埋めているのは、主に債券や株式などの売却益と、投資信託等の販売による収益です。
前者は、市況によって左右されますから、将来に向けて再現可能な利益ではありません。
またメガバンクと異なり、総じて地方銀行は資産運用のノウハウが不足しているというのが実情。
後者は、顧客本位の徹底がより一層要求されるなかで以前とは状況が変わってきています。
短期的な売買をすすめて販売手数料を稼ぐ構造から、販売残高を積み上げることによって信託報酬の長期的増収を図る構造への転換が求められているのです。
よって目先は減収すら覚悟しなければならない状況に置かれています。
その際、中心的な論点になるのは預金の過剰でしょう。
つまり地域経済の実情に応じた貸し出し量を維持するために必要な預金量は、現在の預金量よりも大幅に少ないと想定されるのです。
その超過額を有効活用すれば、揺らいでいる地方銀行の経営基盤安定化への道が見えてきます。
その施策が…
①人材育成を含めた長期的な資産運用の工夫を行うこと
②投資信託等への移転によって預金を削減させること
以上が重要な課題となるのです。
コメントを残す