強面の検査官がコンサルタントに!

 

銀行員を描いた映画やドラマなどでは、銀行の業務を厳しく検査・監督する金融庁の人物が度々登場します。

検査官と呼ばれる役柄であり、立ち入り検査で業務上の不備や不正融資などを容赦なく摘発し、銀行員らが戦々恐々とする対象として描かれています。

 

まさにこれこそが金融庁のイメージでしょう。

ところが、金融庁はこの数年ですっかり変わりました

 

厳しい検査で銀行経営を追い詰め、場合によっては合併まで追い込んでいた金融庁は、もはや過去の姿。

簡単に言えば、強面の検査官が金融コンサルタント的な人物に変貌しようとしているのです。

 

この変化を分かりやすく表現したのが、麻生金融相が記者会見などで標榜していた「処分庁から育成庁へ」というスローガン。

その背景には、バブル崩壊後、長らく日本経済の重石となっていた不良債権問題が、銀行再編も進んだことにより、概ね2000年代に片付いたことが挙げられます。

 

そこで金融庁は不良債権問題を克服した後の新たなミッション探しに動き出しました。

そして新たな課題にしたのが、「家計の安定的な資産形成」です。

 

 

ご存じの通り、日本の家計資産は預貯金に偏重していますが、欧米のように株式や投資信託の比率を高めるには、政策的な後押しが必要だと判断したのです。

 

では、育成される側の金融機関の現状はどうなっているのでしょう?

 

日本銀行が2016年から導入したマイナス金利政策は、各金融機関に大きな影響を及ぼしました。

特に地方銀行など、地域の金融機関への影響は深刻であり、その経営基盤を大きく揺るがす事態になってきています。

 

このままマイナス金利が長期化すれば、より一層の利ざや縮小など収益の減少は避けられません。

それでなくても、地方金融を担う地域金融機関は、人口減少、資金需要の乏しさ、運用難の三重苦に長い間悩まされています。

 

実際に2019年3月期決算の上場地方法銀行78行の約7割が最終減益となりました。

日本銀行が昨年発表した「金融システムレポート」によれば、2028年度には国内基準に準拠する銀行(地方銀行)の約6割が赤字に転落すると試算しています。

 

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