「夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職の世帯では毎月の不足額の平均は約5.5万円であり、まだ30年の人生があるとすれば、不足額の総額は単純計算で2,000万円になる」
いかかでしょう?
私がとっても気になるのは、この部分です。
「毎月の不足額の平均は約5.5万円」
要するに豊かな老後を楽しんでいる世帯もあれば、辛い老後に苦しんでいる世帯もあり、それらの平均値だということ。
金融審議会のワーキング・グループが公表したものとしては、かなり雑な試算だと思いませんか?
実に機械的で大雑把なデータです。
乱暴な言い方をすれば、こういうことになります。
ある日、ある飲食店にXさんが来店し、普通に飲み食いして5,000円を支払いました。
同じ日、お金持ちのYさんが来店し、豪勢に飲み食いして100万円を支払いました。
結果、いつもは5,000円程度だった客単価が502,500円に跳ね上がり、にんまり顔の店長でした(笑)
このように極端な値がある場合、平均値は大きな影響を受けるのです。
ちなみに「平均値」と「中央値」の違いをご存じですか?
平均値とは、データの総和をデータの個数で割った値のこと。
例えばテストを受けた5人の点数が、45点・58点・95点・60点・100点だった場合、平均値は71.6点になります。
中央値とは、データを小さい順(または大きい順)に並べて真ん中にくる値のこと。
先の例でいえば、60点(45点・58点・60点・95点・100点)になります。
以上、極端な値の影響を受けづらいのが中央値の特徴なのです。
また、同じく影響を受けづらい「最頻値」がありますが、本題から話がそれるので今回は省略します。
また平均値の他にも、言及したい点があります。
あなたの月収が30万円だとしたら、毎月40万円も使うでしょうか?
普通の感覚を持ち合わせているなら、収入内でまかなおうとするはずです。
まぁ、中には金銭感覚が壊れている人もいますが、そういう人は例外ということで。
それに報告書では毎月の支出26万円で試算していますが、当然ながら田舎で暮らす人と東京の港区で暮らす人とではまったく金額が異なってきますよね。
ということで、ツッコミどころ満載なわけです。
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